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Channel: 音の味わい、人の味わい
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舌の根も乾かぬうちに・・・(^^;

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例年通り、年末年始は仕事に追われてブログ更新がままならないが、それも何とか一段落。これからは、週2くらいのペースではコンスタントにアップしたいものとひそかに誓っている。
 
さて・・・ 
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前回の記事では、L-503sというアンプに対して、「価格帯なり」で格別のアンプではないような書き方をした。たしかに、スペンドールBCⅡ、モニターオーディオBRONZEBX5を鳴らす限りではそうだった。
 
しかし、「アンプの音は価格順」がすべてではないはずだ。使いこなしのノウハウや組み合わせの工夫で、価格を超越した喜びをもたらしてくれるのがオーディオではないのか。
 
本記事はつまり、長く使ってきたアンプにもう少しエエカッコをさせてやりたいと思っちゃった、挽回記事というわけである。(^^;
 
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L-503sを見つめ直すために、メーカーの発信情報をもう一度ひろってみる。これはステレオサウンド社が1997年に発行した『ラックスマンのすべて』で、L-503sは優雅なフォルムを紹介する貴重な1ページを与えられている。けっして、アンダー・ミドルの価格帯の付け足し製品ではないのである。製品レビュー記事では、朝沼(予史宏)さんと井上(卓也)さんが「音楽のイメージや空間を巧く聴かせるアンプ」とまとめている。
 
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そのなかに「彫刻的なガチっとした音は出ないが、プリメインとしては空間感がよく出るタイプ」との指摘があった。まさに、前記事でA級ドライブのL-560に及ばなかったのは、その彫刻的実体感である。
 
で、本日はタイプのかなり異なるJBLTi1000をつないでみた。
前回の記事で鳴らした英国スピーカー群は「クラシックときどきジャズ」という人向けだが、Ti1000は適度な情緒性があり、「ジャズときどきクラシック」という音楽ファン向けである。「ほぼジャズオンリー」の方に支持者が多いブルーバッフルの43系モニターほどカラっと乾いておらず、いわばオールラウンドプレーヤーだが、見方を変えればどっちつかず。(^^;
 
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Ti1000のこれまでの印象は

①低音感が16.5㎝のウーファでここまでやるかというくらいすごい(倍以上の大きさのスターリングに匹敵)。したがって、オーケストラやビッグバンドもいける。
 
②JBLとしてはおとなしめの音調。もう少し高域がシャキっと前面に出ても良いのではとの思いは抱くが、羊の皮をかぶった狼で、音量を上げていくと・・・。

 
③中音量まででもジャズやフュージョンを鳴らすと、リズムの切れはさすが。
 
というものだった。
 
これを、前回同様L-560とL-503sで鳴らし比べてみることにした。
 
両者を比べると音が軽い印象の503sだが、Ti1000の充実した低音感でその印象がだいぶ是正される。それどころか、中音量ではともすると、この強力な低音が中高域にかぶってきて鈍い印象につながりかねないバランスを、503sの明るく張りのある音調が良い方向に引っ張りあげてくれる。前述②のもう少し高域を・・・というもの足りなさもほぼ解消。ラックスの本質である柔らかさ、ふくよかさはしっかり生きて、クラシックの弦も本格鑑賞に耐える水準で鳴る。
 
優秀な低域特性を持ったTi1000だが、560では曲によってはちょっと沈んだ暗い表情に聴こえてしまう。フュージョンや日本のポップスなどは、503sの方がむしろ楽しく聴ける面がある。ジャズのシンバルの黄金色の拡散や、フュージョン系のリズムを刻む打ち込みのエッジをきっちり聴かせるJBLらしい特性もきっちり生かして、この手の音楽との相性も悪くない。
 
というわけで、今回は「比べなきゃ良かった」とは書かないですみそうだ。(笑)
 
それでも正直に書けば、音の深みというか表現しがたい余裕感のような音のたたずまい(雰囲気)は560にはあるが、503sにはない要素だ。そうした音の印象は、セパレートアンプの組み合わせだとさらに強く感じることができる。この気配を“ハイエンドの匂い”などという人もいる。これは、使ってみてはじめて実感できる感覚だろう。小さめのブックシェルフならプリメインでもそれほど遜色はないが、フロアタイプの大型スピーカーはやはりセパレートアンプでないとスピーカー本来の魅力を引き出しきれないのではないかと思う。
 
しかし、メインスイッチを押すだけで手早く鳴らすことができ、機器の置き替えも軽快なプリメインアンプは手ごろなファミリーカーにも似て、欠かせない存在であることもまた確かである。日常の生活で活躍するのは大型セダンよりむしろそんな車であるように・・・。

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