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Channel: 音の味わい、人の味わい
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踏み絵CDを鳴らしてみると

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なめちゃん仙人さまが口火を切った「セシウム明菜」は、Zさん、こばちゃん、さらにはこばちゃんが持ち込んだリラさん宅のシステムのテスト音源として使用され、良好な再生の難しさ、好ましく再生されたときの素晴らしさがレポートされている。
 
歌姫・明菜嬢にはそれほど執心していないが、難物音源の正体には興味を覚えずにはいられない。だからといって、わざわざの音源入手はもったいないのでレンタル店を徘徊。近隣の店で同一の盤を見つけて借り出し、試聴に及んだ。
 
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実は仙人さまがyoutubeにリンクを張ってくださった動画(静止画)「駅」を、パソコンにつないだTEACのS-300(アンプは『DigiFi』の付録でStereoSoundのロゴ入り、オラソニック製のデジアン)で聴くと、声とバックの分離は良好。声の張りやツヤもなかなかのレベル。さすがに、曲の途中で登場するドーンというスケール豊かな打ち込み(?)の低音は、こじんまりしているが、そう難しい音源とも思えない。
 
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で、試みに拙宅のいくつかのスピーカーにつないでみたのが以下の結果である。再生系のアンプはパワーがアキュのP-300L、プリは同じくアキュのC-230、CDプレーヤーはメリディアン207Ⅱという構成だ。
 
①Ti1000(JBL) 6点
トップバッターは、先日来鳴らし続けているTi1000。接続はバイワイヤリングだ。前述のドーンは大型スピーカーなみの迫力。だが、豊かな中低音がヴォーカルにかぶって、歌が鮮明に浮き出すというわけにはいかない。音楽ジャンルとの相性はピッタリだと思ったのだが、見事にはずされた。うまく鳴らない典型例のひとつかもしれない。
プリをヤマハのC2aにすれば、だいぶスッキリすると思われるが、ここでは追い込みに時間をかけるのでなくスピーカーの特性比較の方向で試聴を続ける。
 
ここで異論反論なのだが、日米の音楽というかアレンジにはかなりの違いがあるように思う。とくに低音において、日本のアレンジは音楽上の必然性よりは「ここで一発脅かそう」「すごいと言わせよう」という作為=アレンジャーのスタンドプレーがありはしないか。
だとすれば、Ti1000が「駅」をうまく鳴らせないのは、不名誉でもなんでもない。
 
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ビーボ・ブライソン&ロバータ・フラック『愛に生きて』
 
Ti1000がこういう音楽では、弾む低音を申し分なく生き生きと鳴らし、伸びのあるヴォーカルを聴かせるという満点のバランスを示すだけに、ここでの6点は音源への疑問提示と読めないこともない。
 
と、踏み絵の合理性に疑問を抱きつつも、お上の基準に戻して以下の試聴を続行。
 
②HLcompact(ハーベス) 7点(バイワイヤは5点)
次はHLコンパクトのバイワイヤリング。これは、なぜかストリングスが濁って聴こえ、ヴォーカルも不明瞭。こんなはずはないと、通常のシングルワイヤリングに戻すと、だいぶ整ってはきたものの、この曲のキモのひとつであるドーンのスケールは不足。
 
③11L(QUAD) 7.5点
続いて、バイワイヤリングでスケールと空間表現がランクアップした11L。元々、整然とした音場を展開するスピーカーゆえ、バックや低音域のかぶりは比較的少なく、編集意図のわかるプレイバックぶり。しかしながらスピーカーの潜在力の差は大きく、これは縮尺盤にすぎない。仙人さまのところのK2やリラさんのところのB&W801で聴けたであろう透明で広大な音場と鮮明に定位するヴォーカルには遠く及ばない。
 
④OPUS-M/06(ASW) 8点
透明感のある高域に期待はしたものの、これは予想以上の好結果で音の分離感が良好。QUAD以上に箱が小さいので低音が心配されたが、大型スピーカーの再生と直接比較さえしなければ、これで十分満足できる。あらためて、このスピーカーの優秀さを確認した思い。
 
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こんな具合で、我が家では9点、10点クラスの納得再生はできなかったが、元々低域が少ない小型スピーカーで比較的良好なバランスが得られた。これなら、ラジカセや低音を欲張らない中域重視のカーステでも気持ちよく聴ける可能性がある。
だが、それでは音源の本当のすごさを表現したことにはならないのだろう。やはり、十分な低音を鳴らした上で、明瞭なヴォーカルを浮き上がらせなければならない。それには、ゆとりのある大型のエンクロージャーを持ったキレのあるスピーカーとそれをサポートするアンプ、プレーヤーが必要だ。
 
となると、人肌感やハーモニーを重視した拙宅のスターリングやBCⅡでは鳴らしきれないだろう。この「セシウム明菜」は透明感や分離感、あるいは放射的拡散を得意とする新しい時代のスピーカーに適合した音源だと思われる。

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