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また再びの“バイワイヤリング”

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バイワイヤリングは何度かトライしてブログ記事にもまとめている。そのときの感想を総括すれば、「明瞭にはなるが、まとまりを欠く場合もあり、必ずしも良いとは言い切れない」というものだった。その効果はスピーカーによってもかなり違った。
 
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今回は、セレッションのA1というスピーカーを鳴らす手段の一つとして試みた。このA1、ネット上の人気オーディオサイトのひとつである「わらしべ聴者」さんのインプレに触発されて手に入れたものである。それは、A1の音が気に入り、「今まで所有した全てのブックシェルフ型を手放すきっかけになった。」という説得力十分のコメントだった。しかし、我が家ではもうひとつその良さを発揮できないでいたので、バイワイヤリングでのドライブを思いついたわけである。
 
セレッションには、その時代ごとに同社のコンシューマ用小型スピーカーのエース格の製品があり、私は「SL-6S」→「Celestion 100」と聴いていたので、その後を継いだ形の「Celestion A1」にも興味を覚えていた。とくにセレッションが好きというわけではないのだが、あらためて振り返れば、1社で4製品というのは親しくつき合ってきたということになるだろう。
 
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前述のセレッションの主要3機種はすべて音が違う。それも、帯域バランスの取り方が同一メーカーとは思えないほど違うのである。A1は、それまでの箱を鳴らす方向からカジを切り、板厚を増した堅固なボックスで、ユニットの音を素直に出そうというスピーカーである。総重量が大幅に増え、サイズアップして密閉からバスレフに形式を変えただけに低音感は他の2つを圧倒するが、中高域が以前のモデルほどはスカッと抜けてくれない。もっさりと厚く「あか抜けないオッサン」みたいな音だ。
サランネットをはずすと幾分か改善され、「一応見られるオジサン」にはなるが、「スッと社交場に立てるジェントルマン」には届かない。英国スピーカーに共通する繊細でシャープだが決して耳には刺さらず艶やかさにつながるという、あの魅惑の音色がもの足りないのである。そういうものを求めなければ、スケールの大きな堂々とした良いスピーカーである。
 
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で、バイワイヤリングにした結果だが、必要な繊細さも感じ取れるようになり、かなり望ましい方向に修正された。きちんと鳴らせば、ヴォーカルからオーケストラまで、広く対応できる能力を備えたスピーカーであることを証明してみせてくれた。難しい弦楽器だってちゃんと聴ける。だが、当然ながらスケールではスターリングに及ばないし、艶やかさではBCⅡが勝る。オール4の生徒みたいで、少々面白みに欠けるのである。うるさいことを言わず、音量を上げ気味にして立派な音を楽しもうというなら、ネットなしでもいける堅固なフロントと合わせて、悪くないスピーカーなのだが・・・。
 
A1のお話はここまで。せっかくバイワイヤ用にスピーカーケーブルをつないだのだからと、いくつかのスピーカーをバイワイヤリングで鳴らしてみた。QUAD・11L、ソナス・コンチェルティーノ、オーディオスペース・LS3/5Aの3組である。LS3/5Aはロジャースのもので行きたいところだが、初期の15Ωキャノン端子であるためバイワイヤ不可。オーディオスペースは次善の代役だ。
 
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結論から言うと、QUAD・11Lは素晴らしく、別物かと思うほど良い。音場が伸び伸びと広くなり、定位や音のクリヤネスも一段とアップする。これでは、当落線上であった処分候補からはずすしかない。広大な音場と楽器の存在感が際立つ「ハンター」(ジェニファー・ウォーンズ)がピッタリの鳴り方だ。
 
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コンチェルティーノも良くはなるが、11Lほど劇的ではない。音色が明るいのは良いが、声も弦もやや薄めに響く特徴が強調される面がある。広くて、余韻たっぷりのイタリアの邸宅ならさぞかし・・・と思うが、当方はそんなぜいたくな環境にない。(>_<)
 
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オーディオスペースは、シングルワイヤー時のこじんまりした印象がかなりの程度払拭される。最新の優秀小型スピーカーといった趣である。まだエージングが足りていない高域も、シングルワイヤより刺激が少なく、きれいに響く。低音の再生能力で11Lには及ばないものの、これ1ペアで、けっこう満足できる音楽生活が送れそうだ。
 
以上の通り、「バイワイヤリング、あなどりがたし」が今回の結論。もうちょっと鳴るはずなんだけどなぁと、愛用のスピーカーにもの足りなさを感じている場合は、トライする価値があると思う。
音量を上げれば気持ちよく音が伸びていくし、低音のスケール感も豊かなので、つい音量が上がってしまう。
 
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使用アンプの紹介が後になったが、

・CDP:MERIDIAN 207MK2
・PWA:Alchemist APD20ASS
・PRA:VICTOR P-L10
・ケーブル:ツィーター側~カナレ4SB105、ウーファ側~オヤイデシルバーコーティング
 
という毎度の顔ぶれ。このうち前回のテスト時にはなかったのが、P-L10だ。バイワイヤリングの効果が前回より良い方に大きく作用したのは、このプリの影響力が大きいのかもしれない。

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