入手したA1.20SLは、今のところ快調です。思っていたより状態も良く、電源投入時のポップノイズは本体→電源部の順にONにすることで、ほぼ無し。ボリュームやセレクターつまみのガリも皆無。背面にはハインツ&カンパニーのラベルがあり、正規ルートで入ってきたもののようです。代理店あるいは今回購入のショップで中間的なメンテナンスがなされているのかもしれません。
少々気になるのが海外のアンプに多いトランスのうなり。電源投入時はほぼ無音ですが、温まってくるとわずかに大きくなります。それでも2mも離れれば気にならないレベルなので、まぁ良しとしましょう。
アンプの性格もだいぶつかめてきたので、昨日はタンノイ/スターリングとロジャース/LS3/5Aを鳴らしてみました。
スターリングでは、MFの持つ線の太さと、スターリングの低音特性とが重なっての低音過多が案じられましたが、幸い、ゆったりと大きな、しかしダブつきのない音楽を鳴らしてくれるというアンプの持ち味が発揮されて好結果。また、こってりと濃い目の音ながら、音の先端を丸めてしまわず、意外なほどエッジを立てる表情も見せてヴァイオリンのソロや女性ヴォーカルの繊細さや余韻などもきちんと表現してくれます。
当然ながら、ピアノやベースなどの楽器は等身大に近いイメージで聴け、やはり大きめのスピーカーはいいなぁと思わせられます。
当然ながら、ピアノやベースなどの楽器は等身大に近いイメージで聴け、やはり大きめのスピーカーはいいなぁと思わせられます。
対して、LS3/5Aでは最初、高域のザラツキ感や薄さが耳につきました。これは、スターリングから切り替えたための相対的な低域不足に加えて、LS3/5Aがシビアなセッティングを求める結果です。間隔を広く取りすぎないように段階的に狭めていき、同時に内振りの角度を詰めることによって、ベストポジションを探ります。
納得の設置位置で聴ける音楽は究極のダウンサイジングというか、スケール感は欠くものの好バランスでSWの追加など余計なことをする気にはなりません。いつもは、「良い音なんだけどやはり小ぢんまりしちゃうなぁ」という印象がつきまといますが、A1の力強さと押し出し感がそんな不満を吹き飛ばしました。
音像が小さめな分、空間が広々として、これはやはり小型スピーカーだけが提示できるミクロコスモス(小宇宙)です。
1時間ほど鳴らした後の高域の艶やかさ(なまめかしさ)も格別で、こうした世界を描かせるのにはこのペアがあれば十分~ソナスやQUADはいらない~と、一瞬マイオーディオの基盤を揺るがしかねない危険な考えが浮かびました。(^^;
1時間ほど鳴らした後の高域の艶やかさ(なまめかしさ)も格別で、こうした世界を描かせるのにはこのペアがあれば十分~ソナスやQUADはいらない~と、一瞬マイオーディオの基盤を揺るがしかねない危険な考えが浮かびました。(^^;
MFアンプは我が家に暴風圏を持ち込んできたかもしれません。
スピーカー大粛清の予感(笑)
続いて、厚みや温度感に特徴があると認識しているKT90シングルアンプにつなぎ替えてみます。
・・・通電後5分しか待たない音はやっぱりダメです。高域が薄く、音がキラキラ輝きすぎていましたので、CD1枚分は聴かずに別のことをして、仕切り直しです。
アンプが温まってからの音は滑らかさが増して、耳障りな輝きも落ち着きました。LS3/5Aの音としては何とか及第点でしょう。しかしA1.20SLの充実した音に比べると表面的で、感動が小さいです。KT90は、演奏者が空中に放った音を聴かせるのに対して、A1.20SLはぐっと演奏者に近づき、のど元の音をスピーカーから鳴らします。ピアノなら、反射板から放出された音でなく、フェルトの貼られたハンマーが金属の弦を叩くところから音を拾ってくる感じの鳴りで、音にボディ感があります。ボンゴやコンガなど人が素手で叩く太鼓の音も明らかに皮の厚さを増して、別の録音のよう。
アンプが温まってからの音は滑らかさが増して、耳障りな輝きも落ち着きました。LS3/5Aの音としては何とか及第点でしょう。しかしA1.20SLの充実した音に比べると表面的で、感動が小さいです。KT90は、演奏者が空中に放った音を聴かせるのに対して、A1.20SLはぐっと演奏者に近づき、のど元の音をスピーカーから鳴らします。ピアノなら、反射板から放出された音でなく、フェルトの貼られたハンマーが金属の弦を叩くところから音を拾ってくる感じの鳴りで、音にボディ感があります。ボンゴやコンガなど人が素手で叩く太鼓の音も明らかに皮の厚さを増して、別の録音のよう。
一般的には“ぬくもり”のイメージで語られる真空管アンプ(今回はKT90シングル)の方にむしろ機械の介在感があり、A1.20SLの方がナチュラルというか自然界の音に近い響きを聴かせるのには、正直、予想をくつがえされました。
開発の年代からいって、LS3/5Aは真空管アンプとの相性の良さが言われますが、MFのアンプは、さらに人肌感をもって実態に近づくファンタスティックな音楽をつむぎ出してくれます。