8年ほど前にユーズド品を手に入れた「タンノイ・スターリングHW」だが、10インチ(25cm)ユニットの2558Rは岡山のリテイルマネジメントさんで同軸ツィーターの位置調整とウーファ^部エッジの全面交換をしており、コンディションは良好。
これに対して、サランネットは片側の劣化が目立つ。もう一方が何でもないだけに余計気になるのである。前ユーザーさんが、片側だけ日当たりが良いとか風通しが良いなど、サランの劣化が進む環境に設置していたものと思われる。
この際、きれいにして使いたいものと、このスピーカーのサランネットリニューアルの方法をあちこちあたった。
まず、輸入販売元のティアックだが、タンノイのサランネット張替えのサービスは提供していないと聴いたことがあり、また、たとえ依頼できてもかなり高額を要求されることは間違いない。
そこで、サランネット張替えを受け付けてくれるところをいくつか当たり、最終的にスペンドールBCⅡのサラン張替えでお世話になった静岡のBGMさんにお願いすることにした。
どの相談先からも言われたのは、「同等のネット生地は手に入らない」ということ。その点はやむを得ないので、スターリングオリジナルの雰囲気をこわさないもの、という条件で最終的にBGMさんに決めた。対応の確かさは経験済みだし、価格も良心的だと思う。
で、できあがってきたのがこれ。ごく明るいグレーで、一般的なジャージーネットよりもふわっとした厚みを感じさせる材質。複雑な繊維の色味が重なり合ったオリジナルとは異なるが、なかなか良い感じだ。
タンノイのプレステージシリーズでは、エンブレムが貼り付けでなく木枠にネジ止めされている点、鍵穴の存在、下側に金属板がせり出す固定金具があることなど、ちょっと素人では手が出せないネットグリルの構造を持っている。
BGMさんはさすがにプロの仕事。めんどうな細部も本当にていねいに仕上げてくれている。これで13,000円(ペア)+アルファは格安だ。こちらのリクエストではないのに、消費税アップ前にと、3/31に間に合わせて発送してくださった心遣いにも感謝。
最後に装着した写真を。うっすらとゴールドのフレームが見えるのも悪くない。
こちらがオリジナル。ざっくりした風合いは味わい深いが、音の透過性は新しいものの方が良いのではないかと思われる。
スターリングの愛用者は非常に多いし、サランネットのクリーニング法に関する記事なども目にするが、初期のモデルは製造後30年近く立っているので、思い切って張替えてしまうのも悪くない選択だと思う。新しいスピーカーを迎えたような気分で、気のせいか音楽もはつらつとして聴こえてくる。