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Channel: 音の味わい、人の味わい
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メンテを終えたα607の音

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本日は、日本列島が北からの大型寒気にすっぽり覆われて日本中が雪模様。ここ埼玉も20㎝を超える積雪の予想で、「大雪注意報」が出されました。雪など当たり前の地方の方々からみれば、たかだか2~30㎝で注意報とはちゃんちゃらおかしいということでしょうが、ともかく首都圏は雪に無抵抗。とくに鉄道の弱体ぶりは目をおおうばかりですが、常設準備の費用と何年かに一度の大雪対応では後者が安上がりということで、利用者の便は二の次になっているのでしょう。
 
さて、「大雪なので不必要な外出は控えよ」とテレビニュースも連呼。こんなとき、オーディオはまことに好都合な趣味ではあります。
数日前、サンスイアンプAU-α607がオーバーホールから戻っており、通電してのアイドリングも済ませているので、じっくり聴き直してみました。
 
イメージ 2
 優美な重量感の魅力(?) AU-α607。
中古動作品は1.5~2.5万円あたりと割安。
修理相場は、今回記事にある通り3万円を少し超え、本体価格より高い。(^^;
合計5万超えとなると、新品当時の割引価格に近づくが、
今この内容のアンプを造るとなると、10万円を大きく超える価格になりそう。
そう考えれば修理使用もアリかな。
 
サンスイOBが運営しているアクアオーディオラボさんは、パーツ交換は必要最小限(主要部品が入手不可能という理由もあるかもしれません)と噂に聞いていた通り、修理個所としてはパーツ交換は1点のみで部品代は100円。あとは技術料とOH料金ということで、OHの内容としてはハンダ修正とボリュームをはじめとする接点のクリーニング、総合調整。その他、送料、消費税を入れて32,130円。
 
これを先日のラックスL503sの場合と比べてみると、ラックスは交換部品代が6点で12,100円。それ以外が33,155円で、部品代を除けば同程度の金額ですね。重大な故障でないかぎり、3万円を少し超えるあたりが実質修理代の目安になりそうです。
 
さて、試聴にあたっての接続機器は、CDプレーヤーがメリディアン207Ⅱのほか傾向の異なるもの1種、スピーカーはハーベス/HLコンパクト、JBL/Ti1000の2種です。このアンプを手元で使ってみたこれまで(OH依頼前)の印象をひとくちで言うと、「太くて角のとれたマイルドな音」というもの。雑誌の記事などで読んでいた「パワフルでシャキッとした、ジャズ・ロック向けの音」というイメージとかなり大きなギャップがありました。英国スピーカーの繊細でつややかな高域など、まったくといっていいほど鳴らせませんでした。
この点が「パーツ類の劣化で音がナマってきているせいかもしれない」という疑惑にふくらみ、今回のOH依頼の決め手になりました。使用頻度の少ない個体で、ガリや操作上の不都合もなく、黙って使い続けることもできたのですが、本来の音が出ているのかどうかをメーカーOBの方にきっちり見てもらい、スッキリ解決したいというのが修理依頼の最大の眼目だったのです。
 
余談ですが、最近出版された『オーディオお助けハンドブック』という本の、国産・海外ビンテージ100選のなかに、このサンスイAU-607シリーズも選ばれています。そこには「しっとりしたサウンドのなかにパワフルさが感じられ」とあり、どうやら元気さをむき出しにするアンプというわけでもないらしく、だとすれば私の印象もそうかけ離れたものではないのかもしれないと思い直しました。
また、同じく最近の『ステレオ時代』という本の特集でも、やはりこのAU-607が取り上げられるなど、日本の普及クラスアンプを語るうえでは、はずせない地位を得ていることを再確認。
音だけなら上位機のAU-907の方が良いに決まっているのですが、私は末弟であるこの607がなぜか気に入っているのです。

 
イメージ 1
 ユニークなムック、『ステレオ時代』の特集記事 
 
個人的には、音ではなく価格不相応な堂々としたたたずまいと、ピアノブラックの優美なフロントパネル、それに見合ったプッシュボタンの柔らかく切り替わる感触が好み。ですので、プッシュボタンのない607シリーズにはあまり魅力を感じません。より新しいAU-α607DRを手放してα607を手元に残したのも、それが最大の理由でした。
 
イメージ 3
右上に見えるプッシュボタン(プレート?)群のフィーリングがお気に入り。
バチンなどという無粋な音を発せず、軽く、柔らかくエレガントに切り替わる。 
イエローの表示ランプも独特でチャーミングだ。
 
余談が長くなりましたので、本題に戻りましょう。
このアンプ本来の音を良く知っているメーカーOBの方から「OH完了」ということで戻ってきたということは、本来の音に近い音が出ていると思ってよいはずです。さて・・・
 
全体的な印象としては、OHに出す前との劇的な違いはありません。やはり、「刺激的な音を出さない太めの音」というのがα607の本来の持ち味なのでしょう。ですが、じっくり聴くと音の輪郭は明瞭に描くようになっています。また、スピーカーの鳴らす音楽の帯域バランスが整ったというか、滑らかに音が出てくる印象になりました。つきまとっていた“鈍さ”がなくなり、溌剌としたハリが戻ってきています。
妙なたとえですが、肩や首のコリに悩んでいた人が整体師の施術を受けて血流の循環が改善された状態を連想させます。したがって、以前はダメだったHLコンパクトの高域も、普通には鳴らせるようになりました。
 
ならばと、Ti1000にパワーを放り込んでいくと、「パワフルでシャッキリ」の表情も見せるようになり、リズムに打ち込みを使った音楽がビシビシ決まって気持ちイイ。やはり、サンスイ~JBLのコンビは格別な相性の良さがあるのかもしれません。
 
しばらくは安心して使えるサブのプリメインを得た感じで、いくつかのアンプ処分を実行に移すことになりそうです。

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