しばらくぶりに「オーディオ・一人語り」の書庫へのアップだ。この書庫は、基本的に他への配慮はとりあえず棚上げしているため、みなさまの所有機に対する失礼な発言があるかもしれない。その点は、音のわからん奴のたわ言とご了承いただきたい。
歳を重ねると、行動のスピード感が衰えるのはやむを得ない。肉体的な瞬発力にとどまらず、思考における分析力、判断力などにもこれはあてはまる。したがって、同じ量の仕事をこなすのに時間がかかって、自由に使える時間が削られている。
以上が、身辺の雑事にかまけて、いまだブログ巡回でコメントが書けない言いわけである。(^^;
(ブロ友のみなさ~ん、読み逃げですみません。●█▀█▄)
ただ、記事にしたい出来事はボツボツあるので、アップだけはしておかないと忘れてしまう。これも加齢の弊害だ。(>_<)
■LUMMANの修理代
昨年末押し詰まってからの送付だったが、年明け早々にL-503s修理完了の連絡があった。
修理代は45,255円。消費税と返送時の送料込みなので、実質は4万円ちょっとになる。
接点に甘いところが生じてはいたものの、いちおう正常に音は出ていたし、倉庫への放置や引っ越しも経ておらず、平穏な室内での使用だったから傷みは最小限のはず。
さらに古いL-560の修理を3年ほど前に経験しているので、それから推察して3万円台で済むのではないかと思っていたが、メールで報告を受けた以下の修理項目を見ると交換パーツが多く、やむを得ないとも思える。
1998年に購入したL-503s、修理は初めて。
繊細感はやや不足だが、太めでおおらか、楽しく音楽を聴かせる。
細部にこだわりすぎない良さがある。
果たして、どんな音になって帰ってくるのか。
(以下引用)
内容は、修理プラスオーバーホール的な作業をさせていただきました。
1、インプットセレクター交換
2、出力リレー交換
3、3連スイッチ交換
4、バランス、バス、トレブルボリウム交換
5、スピーカーセレクタースイッチ交換
6、接点部クリーニング
7、点検、総合調整、エージング、動作特性テスト
1、インプットセレクター交換
2、出力リレー交換
3、3連スイッチ交換
4、バランス、バス、トレブルボリウム交換
5、スピーカーセレクタースイッチ交換
6、接点部クリーニング
7、点検、総合調整、エージング、動作特性テスト
修理依頼書の選択項目欄で、「5万円以下は見積もり不要」の欄に○を付けたので、予算内で交換可能なものはすべて交換処理になったのか。購入後15~6年になるが、だからといって各パーツが足並みそろえて劣化が進んでいるものとも思えないのだが、“メンテナンス”という言葉から連想されるクリーニングやハンダ修正などの地味な作業より、部品全体をそっくり交換するのが基本方針に見える。スピーカーセレクターなどほとんど操作したことはなく摩耗などないはず。接触面の酸化膜を取り除いてくれるだけでいいのに、という気持ちも生じる。
気を取り直して、現実的な視点でメーカーの状況を推察してみれば、丸ごと交換してしまった方が時間がかからず、部品も新しくなるので再トラブルも起こりにくいだろうし、何より格別にスキルのあるベテラン技術者でなくともできる対応だといういう点に思い当たる。
結果的にユーザーの費用負担は大きくなるし、機器への愛情が感じにくい対応という気がしないでもないが、企業経営にそんな情緒的な要素を持ちこむこと自体が適切ではないのかもしれない・・・とはいうものの、趣味の世界であるから情緒を排除しては成立しないとも思うのである。
■オーディオ製品のヴァージョンアップ
ヒットしたアンプやスピーカーなどは、MKⅡとかインプルーブド(改良、改善、進歩)の「I」などをつけて型番を継続していく例が見られる。単純に考えれば後に出た機種ほど“良くなっている”と思いがちだが、実質はコストダウンのための部分変更で内容がチープになっているのに価格は据え置きとか、あるいは一部のパーツを入れ替えただけで進化形として価格をアップさせるとか、ビジネスがらみなので油断はできない。
これは一般論だが、最初の製品(オリジナル機)は、開発者の思いが形になった魅力がある。もちろん、練り上げきれない未完成な部分がある場合も多いが、総合的にはオンリーワンの魅力を備えていると思う。2代目、3代目になると、欠点と思われる部分が修正されていく反面“らしさ”が失われて平均的な優等生になってしまう場合も少なくない。
たとえば、私の所有するQUAD11Lというベストセラースピーカーは、11L2、11Lclassicと型番が受け継がれ、専門誌では例によってそのつど絶賛だが実ユーザーの評価は必ずしもそうではない。未完成部分はあってもオリジナル(初代機)の魅力を推す人が少なからずいるのである。食べ物の味付け同様に好みの問題だから最新の11Lclassicが良いという人も当然いるが、「新しいほど良い」とは言い切れないのが事実である。
また、ハーベスのHLコンパクトは、2代目のHLCompact 7、3代目のHLCompact 7ES-2、HLCompact 7ES-3と継続中のヒット製品だが、7、7-ES2は、初代の持っていた音の軽さ(浮揚感)を失って音が重い(弾まない)という指摘がある。現行品の7-ES3では持ち前の魅力をだいぶ取り戻したと。これは、某専門店のオーナーさんの印象で絶対的なものではないが、私も同様の思いがあり、7-ES3に比べると粗さもあるがより楽しく聴ける初代を求めたことがあった。
ここまで書いてくると、「良い音とは何か」を問題にせざるを得ない。私は「物理的に広帯域の音」や「歪み率の少ない音」が良い音だとは思っていない。これらが一定水準以上であることが前提にはなるが、何より「好きな音楽を楽しく聴ける音」がその人にとっての良い音だと思っている。当然、良い音は人それぞれということになる。
かつてオーディオメーカーでアンプの開発をしていたある方は、1990年代のアンプを前にして、「これと同じものを作ろうと思ったら、3倍くらいコストがかかる。今は数値的な性能は出ても良い音のするパーツが少なくなっているから、それを探すのに手間がかかる」と言った。
アンプ技術者の方々が数値だけで製品を作っていなかったことを裏付ける発言でちょっと嬉しくなると同時に、デジタル化の流れとともに各パーツが軽薄短小になっていて、iphonなどには好適なのだろうが、音響製品を構成しようとすると適合するものが減っているという気配を感じなくもない。最近の製品に欲しくなる魅力を感じないのは、デザインだけでなくそんなことも関係しているのかもしれない。
ヴァージョンアップといえば、久々に欲しいと思ったKEFのQ300というスピーカーは、Q300Version Upという製品に変わっている。しかも、この呼称は改良の必然性よりは日本市場向けの価格改定用というウワサもある。なんだかバレバレのネーミングだし、要注意だ(笑)