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Channel: 音の味わい、人の味わい
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JBLと遊ぶ

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取説でも推奨されている40-60cmの上限、60cmのスタンドに設置中。
それまでの40cmのスタンドより低域がスッキリし、高域の冴えが出てきた。
バイワイヤはシングルに戻し、バスレフポートには吸音材を装填している。
サランネットは、はずした方が細かな音まで聴き取れる。
 
ハイエンドと呼ばれるようなJBLのプロ用モニターを愛用している方には申し訳ないが、我が家のJBL(Ti1000)は、目下のところ楽しい遊び相手だ。
高域のキレやシャープネスは、想像していたよりもやや控え目。それは、このTi1000が「高品位家庭用スピーカーシステム」として開発されたことと関係があるかもしれない。それでも、ピアノのエッジの立て方などは、英国のハーベスやスペンドールとはかなり異なる。そして、音源がクラシックであっても、ピアノはこちらの方が純度が高く聴こえて好ましい。弦楽合奏は明るめの音色になり、ヨーロッパのオーケストラがアメリカの交響楽団のように聴こえてしまう瞬間がなくはないが、弦のこすれ感は失われていないし、低音の支えもしっかりして、十分にオーケストラらしい響きを鳴らす。安物のスピーカーのように、オモチャの楽団になってしまうというようなことはない。
 
ヴォーカルはいつも聴いているスピーカーたちより幾分かサ行のカスレ音が多めで、音楽そのものより音を聴く快感の方向に引っ張られるが、ドラムスやベースの“らしさ”が演奏を大いに盛り上げてくれるので、CDを聴く楽しさに満ちている。
低音過多な録音バランスのものが多いJPOPでは、我が家の小・中音量でもトンコンで低音を絞る必要があることもしばしばだ。通常だと「小音量だと相対的に低音が聴こえにくい」というラウドネスの特性から、夜半などには低音をややブーストしてバランスを整えることが多いのだが、Ti1000ではほとんどその必要を感じない。つまり、低域が厚めに出ていて、音量を落としても音楽が貧弱にならず高域の明瞭さも備えているので、一般家庭の音量でも生き生きした音楽が楽しめる。
 
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陽水のベスト盤。ゴールド仕上げのディスクで音質良好。
「ダンスはうまく踊れない」「リバーサイド・ホテル」など、
アレンジの効果がいっそうよく聴き取れる。前者は久石譲、後者は星勝。
 
 
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荻野目洋子のベスト盤。
本物のPOPファンではないので、ベスト盤が多い。(^^;
「ダンシングヒーロー」「六本木純情派」のドライブ感が気持イイ。
 
 
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Zさんに教えてもらった快感ディスク。
こういうのは、やっぱりタンノイよりJBLだ。
 
Ti1000は、基本的にはオールラウンダーであるが、ポピュラー系の音楽を再生したときには、さすがに叩く音(打楽器系の楽音)がビシっと決まり、まことに気持ちが良い。
 
また、このスピーカーを使って発見したのが、サンスイアンプとJBLスピーカーの相性だ。AU-α607は¥79,800というリーズナブルな価格帯でありながら、本格的な駆動力で人気が高かったアンプで、上位機の707、907とともに、このシリーズは長期間に渡ってマイナーチェンジを続けながらサンスイの名声を確立した。
 
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私が入手したのは、発売当時ではなくこのブログを始めてしばらくの2008年あたりだった。東北のオデオ愛好家が押入れに秘蔵していた使用時間の短い個体である。このアンプの大きな魅力はそのデザインと入力切り替え部のプッシュボタンの感触で、パチンという感じでなくヌメっとした柔らかさを持ちながらも確実に切り替わる操作感は極上のマシンをいじる快感と言ってよいものだ。
ところが、音に関してほとんど感心したことがない。(^^;
耳当たりは良いが反応のにぶい、もっさりした音にしか聴こえなかったのだ。
 
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「ジャズに良い」「クラシックも十分に鳴らせる」と、こうした評論家諸氏の賛辞は実感できなかった。これはある意味当然で、英国系スピーカーのデリケートな高音を鳴らしてみせろということ自体ないものねだりであったのだ。モダンダンスの名手といえども、クラシックな社交ダンスは踊れない。

ところが、このAU-α607にJBLTi1000をつなぐと、実にバランスよく鳴る。明瞭さもスケール感も、プリメインアンプとしては十分過ぎるほどだ。これはサンスイがJBLの輸入総代理店であったことと無関係ではないと思う。いまでこそ、JBLやマークレビンソンなど多くの有力ブランドを傘下に置くハーマンの日本法人が輸入元のような形をとっているが、かつてはサンスイがその役割を担っていた。パラゴンやオリンパス、ユニットD130などの名品はサンスイ時代の扱い製品だ。'70~'80年ころのオーディオ隆盛期にJBLのショールームを運営していたのもサンスイだった。当然、アンプの音決めの聴感テストにはJBLの製品を使っていたろうし、格子グリルのスピーカーがJBLにもサンスイにもあったことが両者の親密さを示していた。

当時、サンスイの技術陣がJBLのスピーカーをヒントに自社スピーカーの開発を進めたが、パーツの一つひとつで協力部品メーカーがJBL部品の技術水準についていけず、試作もままならなかったというエピソードが残っているが、やはりJBLの製品化技術はたいへんなものだったようだ。
 
こんなわけで、ビジュアル的なマッチングも含めて大いに気に入っているAU-α607&Ti1000のコンビであるが、装置がCDを選ばせるというか、クラシックのディスクに手が伸びにくくなって、どうしてもパーカッシブな音源が中心になってしまう。
こういうカラ元気は落ち着いた穏やかな日常にそぐわず、日常の方が何やら浮き足立ってきたので、そろそろスペンドール中心の日々に戻ろうかと考えているここ数日である。

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