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Channel: 音の味わい、人の味わい
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YAMAHA CA-2000を聴く。

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ヤマハとラックス、ほぼ同時代のアンプだが、
顔つきはずいぶん違う。

ヤマハのプリメイン、CA-2000が届いた。整備された(ということになっている)中古品で、1976年製ということを考慮すれば程度は並かやや上の部という印象。
名品といわれるアンプの場合、オリジナルのままを重視する方もいるが、この個体は当時のやや扱いにくいスピーカー端子がバナナプラグ対応のものに交換してあり、私にとってはむしろ好都合だった。

いまさら何故こんな昔のアンプを、と思われる方もいると思うが、1970~80年ころの各社の上位機には音、デザインの両面で本当に魅力のある製品が多い。新しいアンプの音を聴く機会は多くはないが、共通して感じるのは精細で透明だが、音が薄く広げられ伸ばされたような味わいの希薄さだ。低音も音としては出ているのだが、どうも外形だけで充実した中身を感じにくいのである。スピーカーに色付けのない信号を送り込む・・・と言えば聞こえが良いが、どうしても頭で造り上げた製品から出るポリシーのない音の印象がぬぐえない。

結果、経時劣化による不具合と背中合わせであることを承知の上で、作り手の情熱が形になったことが感じられる古いアンプに食指が動く。このCA-2000は当時のヤマハの最上位機で、専門家の評価、販売実績ともに好評だったCA-1000の完成度をさらに高めようという試みが形になったアンプである。出力はA級でチャンネル当たり30W(8Ω)、B級なら120W(8Ω)のパワーがあり、見かけのスマートな印象の割にパワフルだ。

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A級ドライブでの発熱部を囲むように設置された放熱フィン

発売当時、力作だとは思ったが“豊潤であること”を求める自分の好みとは路線の異なるのがヤマハのアンプだと承知していたので、欲しいと思ったことはなく、あくまでも他の人が鳴らしている良質のアンプという存在にすぎなかった。当時としては高額で、ふところとの折り合いがつかなかったのも理由のひとつである。(^^;
ところが、数年前に手に入れたプリアンプC2及びC2aの質の高さを実感するにつけ、CA-2000を手元でじっくり聴いてみたいと思うようになった。

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さて、スピーカーは何をつなぐか。愚考の結果、ビクターのSX-V1Aを鳴らしてみることにした。選定理由はエレガントなデザインの共通性だ。どちらかといえば無骨なフロントを持つ国産アンプが多い中で、ヤマハアンプのフロントパネルは当時から異彩を放っていた。ツマミは多いが軽やか且つ爽やかに、すっきりと配置されている。ビクターのスピーカーも、海外製品なら3倍くらいの価格になりそうなしゃれた外観を備えている。
このスピーカーは見た目の印象よりはるかにスケールの大きな中低音を鳴らし、温かみのあるぶ厚い音楽を聴かせる。ところが、下手をすると耳当たりが良いだけのもっさりした音に陥りやすい手ごわいスピーカーである。

例によって女性ヴォーカルと弦楽を中心に聴いたが、ヤマハアンプのイメージ通り、ぜい肉のない透明感を伴う美音である。かといって、痩せた印象や刺激的な音の気配はなく、必要な厚みや重みもきっちり備えた音。前述したSX-V1Aのもっさり感を微塵も感じさせず、しなやかに気持ち良く鳴らしてくれる。いかにもという広帯域感はないが、さすがの出音だなぁというのが何枚かのCDを聴いた総評で、なにより音楽に血が通っている。最もフィットするのは少し前の日本のポップスだろうか。ユーミン、ハイファイセット、八神純子などはピッタリはまりそうだ。

A級に切り替えると、音の粒子が1ランク細かくなり微妙な陰影の表現力が増す。CDとSACDの聴こえ方の差に似た違いだ。A級アンプとしての発熱は、ラックスのL-560やミュージカル・フィデリティのA1.20より少ない。

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ボリュームやトーンコントロールなどのつまみは適度な重さと粘りがあっていかにも高級機らしいが、レバー式の上下切り替えスイッチは軽過ぎて、ちょっと手が触れると意図しないポジションに入ってしまう。全体的な操作感はC2aに一歩ゆずるかもしれない。
購入先の話だと、脚部の取り付け強度に問題があるらしく、梱包に注意しないと脚がとれてしまうというトラブルに見舞われやすいとのことで、これは今後の配送に参考になる情報だった。また、北海道―本州間の輸送の場合、荷物の積み替えや上げ下ろしの回数はヤマトよりゆうパックの方が断然少なく、当然事故の確率も低いということも聞かされたが、事の真偽は不明である。

定評あるフォノポジションを活用したアナログ再生がこのアンプの大きな魅力の一つだと言われているが、このところアナログプレーヤーの接続が不調。フォノケーブルを再点検して全盛期のアナログを堪能したいものである。

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